みっどさまーず・ないつ

When I opened the door called truth, my childhood ended.

シン・ゴジラ

以下、ネタバレ注意。用法用量をお守りの上、自己責任でお願いします。 

ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ

ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ

 

 

 まずゴジラは「敵」ではなく「災害」として扱われる。当たり前である。劇中でも指摘されるが近代国家において「敵」とは同じような近代国家、もしくはテロ集団のような国家に準じるものだけである。そんな近代国家においてゴジラはまさに想定外であった。そういった多数の思惑が入り混じった近代国家のような敵ではないため、今回のゴジラにはわざと行動原理がないように描かれていたと感じる。

 

 そして現実の組織は現実の課題をもとに作られているため、ゴジラとのファーストコンタクトにおいて現実は後手を踏みまくる。そんな現実の国家と虚構の生物との間に板挟みになるのが主人公矢口だ。一方、赤坂と呼ばれるもう一人の官僚は主人公とは異なり虚構と現実をすぐに一致させる。虚構の先にある現実を見て常に「正しい」選択をする。それとは対照的に主人公は最後まで「正しい」選択をすることができない。この物語でも主人公は心の中で官僚としてのそして現実としての「正しさ」を理解している。赤坂が話すゴジラ以後の日本。そして総理になるという夢。もちろん理解している。それでも自らの良心としての「正しさ」を捨てることができなかった。そんな主人公が最後に手に入れた現実としての未来は素晴らしいものだった。心の底からそう感じた。まさに「現実対虚構」。シンゴジラはまさしくそういう物語だった。

 

 最後に僕はエヴァQの大ファンなので、はやくシン・エヴァの方もお願いします。